2024.02.08
病気やけがの際の対応方法!幼稚園での緊急時の取り組み
幼稚園では子どもたちの安全が最優先事項です。しかし、子どもたちの活動的な性質や身体のバランスの未発達さから、けがが起こる可能性は常に存在します。
幼稚園でのけがは、適切な対応と予防策によって最小限に抑えることが可能です。この記事ではけがの際にどういう手順で対応するのか、そして予防策の強化について詳しく解説します。
けがの際にとるべき対応の手順
園児がけがをした場合に、対応の手順を間違うと処置が遅れてしまいかねません。そのため、スタッフは常日頃から手順を理解して、万が一の事態に備えておく必要があります。
主な手順は以下のとおりです。
- 園長や主任への報告と連携
- 保護者とのコミュニケーションと情報共有
- スタッフ間でのヒヤリハットの共有
それぞれを見ていきましょう。
園長や主任への報告と連携
事故が発生した場合、スタッフは直ちに園長や主任に報告し、指示を受けることが求められます。迅速な報告により、適切な対応を取ることができます。
さらに、事故の詳細と対応内容を保護者に正確に伝えることは、信頼関係を保持し、今後の対策につながります。保護者とのコミュニケーションは、事故防止の重要な要素です。
保護者とのコミュニケーションと情報共有
けがが発生した際は、保護者に速やかに連絡を取り、必要に応じて直接謝罪やフォローアップを行います。
このような対応は、保護者の不安を軽減し、信頼関係を維持するために不可欠です。
また、けがの後の子どもの様子や家庭でのケア方法についても、保護者との間で情報を共有します。
この情報共有は、子どもの迅速な回復を支援する上で重要です。
ヒヤリハットの共有
スタッフ間で危険な状況やヒヤリハットを共有することは、事故の未然防止に欠かせません。
ヒヤリハット報告書を記入し、定期的なミーティングでの情報交換が、安全な保育環境の維持に寄与します。
ヒヤリハットの共有により、スタッフは互いの経験から学び、より効果的な予防策を講じることができます。
これによって、子どもたちが安心して遊べる環境が整います。
具体的な対応事例
岐阜県羽島市のMama’s International Kinderschoolを例に挙げて、現場で行われている具体的な対応や安全対策をご紹介します。
事例1:熱中症に陥った場合の対応
Mama’s International Kinderschoolでは、生徒が熱中症に罹った場合に、熱中症の3つの段階に応じて対応します。
熱中症とは暑さの中で起こる障害の総称であり、大きく分けて3つに分かれます。
<熱けいれん:軽症>
【 症状】
・めまいや立ちくらみが起こる
・顔色が青い
・呼吸や脈が速くなる
・おなかの筋肉がけいれんをおこす
【処置の仕方】
・涼しいところに寝かせて衣服をゆるめる
・元気そうなら安静に座らせて、冷たいタオルを頭や体にあてて体温を下げる
・小児用イオン飲料や水や麦茶などで水分を少しずつ補給する
< 熱疲労:やや重症>
【症状】
・ぐったりする
・体温が上がってくる
・頭痛や吐き気がしたり嘔吐したりする
・手足が冷たくなり、青紫色に変色する
【処置の仕方】
・軽症の場合と同様のケアを施しつつ、救急車を呼んで点滴の処置を行う
<熱射病:重症>
【症状】
・体温が上がる
・意識がもうろうとする
・反応が鈍い
・言動がおかしい
・全身の痙攣(けいれん)がある
【処置の仕方】
・涼しいところに寝かせる
・救急車を呼び、入院治療を受けさせる
・衣服をゆるめて冷たいタオルで、首、脇の下、足の付け根などを冷やす
事例2:けがによる出血時の対応
Mama’s International Kinderschoolでは、けが等により出血した際には、以下のような処置を行います。
- 血液はできるかぎり素手で触らず、使い捨てビニール手袋等をつけて処置をする
- 傷口を滅菌ガーゼ等で圧迫して止血を行う
すり傷、かすり傷の場合は以下のような処置を行います。
- 傷口を流水で洗い流し、傷口に砂・汚れがないか確認する
- 清潔なコットンに消毒液を染み込ませ、傷口を消毒し絆創膏を貼る
血液が付着した持ち物は以下のような処理を行います。
- 使い捨てビニール手袋を着用し、30℃程度のお湯(少し温かさを感じる程度)でしっかりすすぐ
- ビニール袋に入れ、保護者にお返しする
事例3:水遊び指導においての安全管理
Mama’s International Kinderschoolでは水遊び指導において、以下のような安全管理を行っています。
- 生徒の健康状態を注意深く観察する
- 監視する者や遊びの指導を行う者などの、役割分担を明確にする
- 安全上の必要事項を、生徒に指導して徹底させる
- 十分な監視体制が確保できない場合については、水遊びの中止も選択肢とする
- 生徒の様子、動きに十分気をつけて指導する
- 異常(※)があるときは、直ちに水からあげる
- 適度に休息し、体温を調整しながら遊ぶ
- 時間的余裕をもって行う
- 水遊び後も異常がないか注意する
※ひどく寒がる・水に入るのを嫌がる・顔色が悪い・唇が紫色になる・皮膚全体に鳥肌がたち寒気がする・元気がなくなる・動作が鈍くなる等
また、安全対策として次のような取り組みをしています。
- 心肺蘇生、応急手当等関係機関と連携した実践的な教育、研修の場を設ける
- 緊急時の対応を整理し、日常において訓練を行う
- 簡易プールの管理(設置・保存等)には十分気をつける
予防策の強化
子どもたちがけがをしやすい状況を、事前に確認することが重要です。
これには、園内の危険な場所や時間帯を特定し、安全対策を施すことなどが挙げられます。
具体的には、おもちゃの取り合いや誤飲、アレルギー反応など、特定のリスクを軽減するための対策を講じます。
また、日常的な監視体制を強化して、子どもたちが安全に遊べる環境を整えることが大切です。
応急処置の訓練を受けたスタッフがいることで、擦り傷や打撲などの軽微なけがに迅速に対応できます。
たとえば傷口の清潔化や、必要な場合の止血処置などです。
また、重篤なけがやアナフィラキシーショックなどの場合、速やかに医療機関への搬送を行います。
頭部のけがの場合、脳内出血の可能性を考慮し、適切な応急処置後に症状の観察を続けることが不可欠です。
まとめ:予防対策と全関係者の連携で園を安心の場に
幼稚園におけるけがの予防と対応は、子どもたちの安全と健康を守るために不可欠です。
事前のリスク評価、適切な応急処置、そして保護者とのコミュニケーションが大切となります。
最終的にスタッフと保護者が良好なコミュニケーションのもとで協力し、子どもたちの安全を確保することが重要です。
このような体系的なアプローチにより、幼稚園は子どもたちにとって安全で楽しい場所となるでしょう。