2024.02.08
幼稚園でのコミュニケーション力の育成!友だち作りと共感力を高める活動
コミュニケーション力を伸ばすカギは「共感」
近年、コミュニケーションの育成を大切にした教育が重視され始めています。
学校でも一人ひとりの学習だけでなく、グループごとに意見や感想をまとめて発表するなど、コミュニケーションによって成り立つ学習が導入されつつあります。
グローバル化社会への波とともに、こうしたコミュニケーション能力を重視した教育の流れはますます加速することでしょう。
今後、未来の社会で活躍できる人、リーダー的な存在となる人には、世界中の色々な人に共感できる高いコミュニケーション能力が求められるのではないでしょうか。
しかし、その一方で、他人への接し方がわからない子どもも増えてきていると言われています。なかなか友だち作りができなかったり、すぐにトラブルを起こしたり。
そんなときは共感力を育み、コミュニケーションへの足がかりを作ってあげましょう。
共感力がある場合とない場合
共感力のある子どもは、相手の気持ちを大切にできます。
友だちが転んで痛がっていれば心配して声をかけることができますし、友だちのおもちゃで遊びたいと思っても奪ったりせずにまず了解を取ります。
また、友だちが「いや」だと言えば、その気持ちに対応します。
共感力が低かったり不足している場合には、何事も自分を優先する行動が多く見られます。
友だちのおもちゃを勝手に取ったり、ケンカをした際には自分がいやだったことだけを主張する傾向があります。
もちろん、自分を主張せずに他人ばかりを思いやっているのも考えものですが、共感力がないと往々にして周囲との軋轢が生まれ、トラブルを起こしやすくなります。
成長とともに子どもの人間関係も変わってくる
子どもの人間関係は成長とともに変化します。個人差はありますが、その人間関係に伴い、共感力も備わっていきます。0歳児から5歳児までの人間関係は次のように変わっていきます。
【0歳】
0歳の場合はまだ親や保育士などの大人に遊んでもらう時期です。子どもが興味を引かれるもので一緒に遊んだり、笑顔でこたえるなどのコミュニケーションが見られます。
【1歳】
1歳ぐらいになると子どもはほかの子を意識し始めます。
誰かが使っているおもちゃに目を引かれたり、遊んでいる様子を眺めたり。
しかし、一緒に遊ぶことはまだほとんどありません。
【2歳】
2歳程度になると同年代のほかの子にも関心を示しだします。
一緒に同じことをして楽しめるようになります。しかし、ほかの子と上手にコミュニケーションを取れるようになるまではまだ時間がかかります。
【3歳】
ほかの子たちと一緒に物事を楽しみ、「ごっこ遊び」などを通じ、共感力が伸び始めるのが3歳頃です。
ただ、友だちの思いをくみ取ったり、自分の感情をコントロールするのはまだ難しいと言われています。
【4歳】
4歳程度になると、遊具の順番待ちやおもちゃの貸し借りをするなど社会的なルールを理解し守れるようになってきます。
相手の視点になって考えたり、ある程度は自分の気持ちを言葉で伝えられるようになります。
【5歳】
5歳になると子どもは自分の意見を伝えることや、相手の意見を聞くことができるようになってきます。
友だちと力を合わせたり、みんなで協力してやり遂げる喜びがわかってくるなど、社会性の基礎が出来上がっていきます。
まず大人が子どもの気持ちに「共感」すること
人はコミュニケーションの多くを言葉の力に頼っています。
しかし、子どもたちはまだ発達段階にあるため言語力に乏しく、時として自分の気持ちを上手に相手へと伝えられません。
そして、その逆に、相手の気持ちを読み取ることもまだまだ上手にはできません。他人への接し方がわからないのも無理はないのです。
そこで、まずは大人が子どもに共感のお手本を見せてあげましょう。
「~~と思うよ」「~~してもらって嬉しいよ」など自分の気持ちを伝えます。
そうすると子どもは、どんな行動が相手をどんな気持ちにさせるのかを少しずつ学んでいきます。
そして、大人の言葉や行動から、こんなときに相手は嬉しい、こんなときは悲しく感じる……と、想像を働かせるようになります。
共感力を伸ばすためには、相手の立場や気持ちになって考える「想像力」がとても重要です。
そもそも共感力とは? 共感力を高めるには?
「共感」とはそもそも、「相手の立場になって考えられること」や「他人の感情を自分も同じように感じること」を言います。
そのため「共感力」は、その共感できる度合いとも言えるでしょう。思いやりや、他者に寄り添える力でもあります。
共感力を高める活動:絵本の読み聞かせ
子どもにとって絵本は色々な物語の展開にふれられる身近なアイテムです。
そのストーリーの中で、子どもはどんな状況で登場人物がどんな感情を抱くのか、ともに考えていきます。
時にはその登場人物と同じように感じ、時には自分と思っていることが違うのだと知り、物語を疑似体験しながら心を成長させていきます。
共感力を高める活動:ロールプレイング
ロールプレイングでは想定されたさまざまな場面で子どもが役になり切って話を進めていきます。
子どもが憧れるような職業や身近な家族の役柄になり切るのもいいですし、絵本の登場人物になるなど、ロールプレイングには多様性があります。
大切なのは子どもがその役を演じるなかで色々な疑似体験をし、自分や他者への理解を深めることにあります。
具体的な例として、Mama’s International Kinderschoolで行われているロールプレイングをご紹介します。
Mama’s International Kinderschoolのロールプレイングは主に年長の授業で取り入れられており、年少の場合はやはり絵本などの読み聞かせを活用して共感力が育まれています。
ロールプレイングでは子どもがキャビンアテンダントやハンバーガーショップ、スーパーマーケットの店員などになり切り、お客さん役の子と英語でやり取りをします。
実際の職業を疑似体験することで、それぞれの職業や立場になって考えることができ、また、一緒にロールプレイングを楽しむことでほかの子との仲が深まり、コミュニケーション力が養われることになります。
共感することでほかの子からも共感してもらえる
ほかの子に思いやりを持って接し共感を示すことで、友だちとの仲は深まって、信頼関係が築かれていくことでしょう。
その上で、今度は友だちからも自分の気持ちに共感してもらえることが多くなります。
共感は一方的ではなく、双方向で成り立つものだという理解ができれば、思いやりを持って接することが、相手だけでなく自分のためにもなるのだと理解できるようになるでしょう。
ただ、そう理解するためにはきっかけが必要です。
Mama’s International Kinderschoolでは、年中年長の生徒がフリープレイの時間に1人で遊んでいる場合、講師が声をかけ、みんなで1つの遊びをする取り組みもしています。
子どもにとっては1人遊びの時間も大切ですが、長時間にわたってほかの子と距離を置いている場合などは友だちとコミュニケーションが取れるきっかけが作られています。